ヤマハ発、二輪車排出ガス規制に対応の浄化システム開発

ヤマハ発動機(株)は、平成10年10月以降発売の新型車(原動機付第一種)に適用される二輪車排出ガス規制に対応できる、スクーター用2サイクル50ccエンジンの“排出ガス浄化システム”を開発した。99年4月に発売を予定している50ccスクーターの新型車「ジョグポシェ」より順次採用を予定している。

この“排出ガス浄化システム”は、
(1)吸入空気量を制御して燃焼を改善する「コンペンセイター」装備のキャブレター、及び
(2)排出ガス中の有害物質を浄化させる新触媒(「キャタリストチューブ」=商標登録申請中)等からなるシステムである。

特に新開発の「キャタリストチューブ」は、2サイクルエンジン用に開発した機構で、ディフューザー内部のテーパー形状パイプに触媒を採用したもの。白金、ロジウムで構成される通常の酸化触媒に加え、パラジウムを追加焼き付けすることにより、少ない触媒面積で排出ガス浄化が可能となった。これにより2サイクルの排出ガス浄化で課題であったHC(炭化水素)の大幅な低減を達成するなど、優れた浄化効果を実現している。

この“排出ガス浄化システム”の効果は、当社従来モデル比較で、排出ガス中のCOを2分1以下、HCを3分の1以下に低減している。また「コンペンセイター」の採用により、燃費を25%改善(当社比)することに成功した。

●“排出ガス浄化システム”の主な特徴

(1)燃費特性の改善(25%向上/当社比)

キャブレターには、吸気温の変化をセンサーで検知して吸入空気量を制御する「コンペンセイター」を採用した。これにより、運転時の混合ガスを、リーンセッティングすることが可能となる。

さらに、エンジンの回転数変化に合わせ、エンジンが要求する最適点火タイミングを提供するデジタル進角点火方式を採用。これらの相乗効果で、排出ガス改善および燃費特性の向上が可能となる。定地燃費(30km/h)では、当
社現行モデル比較で25%改善(48km/l−−>60km/l)される。

(2)排出ガスの浄化

新触媒「キャタリストチューブ」の表面は、白金(Pt)ロジウム(Rh)の貴金属を担持後、パラジウム(Pd)が追加担持されており、ディフューザー部の中を排出ガスが通過すると、炭化水素(HC)と一酸化炭素(CO)が酸化される。このほど追加担持したパラジウムは、特に炭化水素(HC)の浄化に効果を発揮している。
これにより、前項の通り、50ccスクーターに採用の場合、排出ガス中のCOを1/2以下、HCを1/3以下に低減することが可能である。

(1999年3月16日発表)

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