別冊

6月4日号

平凡な旅の終焉を迎えたくない。

「だめもとでキーウエスト行こうぜ!」

戻る

少し遅めの朝「だめもとでキーウエスト行ってみましょうか!」の一言で二人は、急遽、ニューオリンズに別れを告げ、一路キーウエストを目指して10号線を東へ走行。300km先の名も知らぬ街にてとりあえず宿を取った。

旅は道連れ、世は情け。
どうしてもこのまま平凡な旅の終焉を迎えたくない二人は、意を決してアクセルを開けた。

いにしえの昔からもともと旅の目的なんぞは、あってないようなものと決まっている。なんとなくそっちに行きたいから行くだけなのだ。行き着いてしまうとすぐさま次の目的地が気になってきて、行かずにはいられなくなる。
やがて行っても行ってもおんなじだと分かるとこんどは道中を楽しむことに専念し始める。あるものはそれが平凡だと言い、あるものはこれが良いのだという。
人間なんて欲が尽きない動物のくせして妙に今の自分を満足する口実を巧妙にひねり出す知恵も持ちあわせているから、不可思議な動物だ。バックミラーに写る我が身を見てそう思った。

高校の生物で「生き物は移動する」といった先生がいた。
その行為そのものが写っているのに満足を覚えた一日であった。
そういえば日本いいるときはたいして移動することなく一日が終わっているようにも思う。

旅人とは移動して生を確認することなり

IT'S Incorporated / Tatsuya Kubota all rights reserved.
150-0001 東京都渋谷区神宮前1-15-11 シャトーヒロ新館101 (株)イッツ
Phone:03-5474-0951 FAX:03-5474-0952
e-mail:kubotatu@blue.ocn.ne.jp