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「数学を知的な発想に生かすにはどうすりゃいいんだ?」を考えてみる
「じゃあ、どうすりゃいいんだ」の一つの解答に数学的思考能力の復活がある。 100年に1度とか、10年に1度とかが幾重にも重なる時代、などと言われる前代未聞の環境下においては、参考事例がないため簡単には打開策が見いだせないのは当然だ。自力で考え出さねばならない、ということだ。それをしなくなったのはインターネットで検索すればそこそこの解答が得られる情報化社会の落とし穴とも言える。 そんなことをつらつら考えていると「人は考えればたいていのことはわかるようになるものだ」と口癖のように言っていた御仁を思い出した。恵藤洋治氏その人である。株式会社ワコムの創設者でありタブレット技術の世界特許を数多く取得した成功者である。
その成功者が「考えればわかるのが数学だ」と言う。何を隠そう大の数学好きで四六時中数学の教科書、三角定規、コンパスを鞄に持ち歩いている。山中湖の別荘には大きな黒板が設置されており、現役を引退した今はそこで数学問題を解くのが何よりも楽しいのだそうだ。2度ほど持論の数学講義を聞いたがおもしろくて時が経つのも忘れて聞き入ってしまったほどだ。 ということで、今回の連載はこの先が見えない問題を数学的思考で解く能力について描いてみた。 とことんまで考えてみる恵藤氏の数学講義をご紹介しよう。「まず答えを見ないで何日間かけてもいいから自力で問題を解いてご覧なさい」と、恵藤氏から出された問題の第一弾は「三平方の定理を証明せよ」である。 ご存知の通り「直角三角形の斜辺の二乗は他の二辺の二乗の和に等しい」は中学校で習う。これを証明せよという問題だが、読者の方々にはぜひ何日間かけてでもこの証明問題を誰にも聞かず、解答を他から入手することなく自力で解くことに挑戦していただきたい。 小生の場合、解ければ自分には時代を打開するための思考力はある、解けなければその能力はない、解答できたら勝ち、がまんできずに答えを見てしまえば負け、と決めて、決死の覚悟でアタック、なんとかその日のうちに解答をねじり出した。
その安堵と爽快感はいうまでもない。そして、恵藤氏はこうした達成感を体験することがとても重要で、現在の教育にはこれが足りないと警鐘を鳴らすのだ。 さて読者の皆さんは、自力で解答を得られたと仮定して話をすすめよう。
この文章を読む人には三種類いる Wikipediaには答えがある。証明を図解アニメでわかりやすく解説しているので見れば「なーんだ」となるはずだ。 しかし「どうすりゃいいんだ」を解決する能力を磨くには、問題を自分で何時間も何日も考え抜いて自力で答えを見いださなくてはならない。試しに二人の学 生に協力してもらい、A君には答えを見せ、B君には自分で正解が出るまで考えさせた。そして10日経った後に、再びA君とB君に同じ三平方の定理の出題を したところ、A君は答えられずにギブアップ、B君はテーブルナプキンとペンを使って図形を描き、楽しそうに解説した。さらに「他にも証明する方法はある」 というと即その場で思考し始めた。 解答のヒントは“四角形と三角形の回転にある”のだが答えは幾通りもある。(1)相似を用いた証明(2)正方形を用いた証明(3)幾何学を用いた証明などであるが、恵藤さんはこの証明問題を愛用の三角定規とコンパスを使って解説してくれた。
「これは人類最大の発明です。模型を見ながら問題を解くとわかりやすいが、その模型はこの三角定規とコンパスがあればたいていのものが作り出せるんです」。
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