別冊

5月26日号

フラッグシップからアルバカーキーまで
6時間かけやって来た

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今日からは前半の最終段階に入る

第一段階はロスからシリコンバレーまでの準備段階およびSOHO訪問
第二段階はタホ湖のアウトドア
第三段階はフォーコーナーズ(キャニオン)周辺視察とインディアン居留地区訪問
第四段階はセドナのボルテックス4ポイント制覇
第五段階はサンタフェ研究所訪問
最終段階はこの五段階になる

とりあえず今日のところはフラッグシップから約400km東のアルバカーキーまで6時間かけてやって来た。
ここをベースキャンプにサンタフェを含む周辺を探索しようと予定しているのだ。
ここまではスタッフ車とは別行動を取って到着。
400kmといっても、これまでの一般道とは違いハイウェイ40号線をひたすら走ればいいので楽だった。
途中雨に4回降られたが、そのまま走っていたら乾いた。
走っている最中はこんなことを考えた。
昨日のセドナの佐々木日本レストランは美味かった。
佐々木さんは銀座、N・Yで30年、セドナ5年目だそうだ。
特選ステーキ、秋刀魚の塩焼きはほんとに美味かった、なかなか日本人も来ないところでこんな美味いものにありつけるとは思わなかったなあ。
それにしても、佐々木さんはなんであんなに谷啓にそっくりなんだろう?セドナの夕陽がきれいだよ、と教えてくれた。当たり前のようだが料理屋で夕陽がきれいだから見てこいよ、と教えてくれた店はこれまでにない。
次に考えたことは。
遠くハイウェーの前方に広がる広大なアリゾナ州を眺めながらもうここをバイクで走ることはないかもしれないな。
特にWinslowまでの一般道での出来事、ホピ族の村で会った少年、竜巻、すれ違う車もなくひたすらガス欠の不安と戦いながら走った100マイル。
アメリカに来たのは通算40回は越えている。その度に行き帰りの飛行機の中からユタ州、アリゾナ州、ニューメキシコ州を高度一万メートル上空から見下ろしては、なんであんな砂漠みたいなところに一本だけ延々と道が出来ているのだろう?誰が通るのだ?誰が住んでいるのだ?どういう生活をしているのだろう?と長年の間しきりと不思議に思っていたものだった。
今僕はその道を走っている。
下から飛行機を見ると、何であんな高いところを急いで飛んでいくんだ?一体何をそんなに急いでいるんだ?あれしか知らないで一生終わるやつもいるなんてもったいない人生だ。などと時速75マイルで巡航した。
50マイルほど走るとさきほどからずーっと一緒に並走している、トラッカーがガソリン補給のためかナバホというインターチェンジに出ようとしていた。
面白そうだから、我が輩もガス補給とコーヒーブレークを、とつき合った。
「Hi!」「How are you?」と軽い挨拶。
「どこに行くんだい?いいバイクだね、おれも昔乗ってたんだ」と気のいいオヤジだった。子供の写真なんか見せて、嬉しそうにハンバーガーを口に放り込む。
「じゃな、俺はちょっと昼寝だ、気をつけていけよ」とさっそく運転席に消えた。「しまった、写真撮りたかったな」と思ったが昼寝の邪魔はやぼだから大陸横断列車が通るそのシーンだけ撮って、おさらばした。
3時間ほど、空を見上げるように視点を上に向けて走った。
こうすると大空が視界の80%くらいになり、まるでほんとに空中を飛んでいる錯覚になる。
横の視界も180度に広がり、まるで別世界の大パノラマ景色が次から次へと後ろへ飛んでいくように見える。
太陽光線さえ、気をつければ別段危険ではなく、下限速度で巡航すればいいのだ。
ライダーハイである。
今日は計画どおり午後3時30分にはモーテルに着いた。
荷物を整理して、後半のバイク2台の並走段階に備える準備をすることにした。

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